“好奇心くすぐられる 板門店 38度線の向こう側”
・ 板門店 ( 판문점 )旅行記
今週6/12(火)に世界中が度肝を抜かれた一大イベントがシンガポールにて開催された。
トランプと金正恩の米朝首脳会談である。最近金正恩らしく無いヘコヘコ外交が度々報道されるが、とうとう朝鮮戦争以降お互いを嘲笑し合う犬猿の仲であったアメリカの大統領と笑いあう日がくるとは。
三胖(金将軍の愛称)の心情が、最近ますます読めなくなってきて不気味ではあるが、韓国で平壌冷麺が流行ったり、ノーベル平和賞の候補に三胖の名前が上がるほど、確実に平和に近づいているし、暫く見なかった明るいニュースの一つになっていて、良い傾向である。

そんな金正恩が統治する北朝鮮といえば、日本と国交がなく、拉致やミサイル、恐怖政治といった負のイメージが強い国。
近頃世界と北朝鮮との仲が雪解けに向かうなか、もしかしたら数年後には普通に日本人が渡航できる時代が来るかもしれない。そうなると、誰でも渡航可能な国になり、特別感がなくなるのではないか。
そこで、故意にこの時期に、近いようで遠い北朝鮮を間近で見ることができる場所に行くことをお勧めしたい。
今年入ってすぐに丹東の北朝鮮レストランや中国との国境線を紹介したが、元々私が北朝鮮に興味を持ったのは、これから記す韓国と北朝鮮の国境線、通称DMZ(非武装地帯)、38度線を訪れたことが発端でもある。
赴いたのは今から2年前の夏、就活後暇つぶしに38度線を訪れた記録を綴ります。
・板門店( 판문점)
朝鮮半島中間部に位置する朝鮮戦争停戦のための軍事境界線上にある地区である。北側の朝鮮人民軍、中国人民志願軍と南側の国連軍で停戦協定が1953年に調印され、停戦協定遵守の監視を行っており、60年以上に渡る朝鮮の南北分断を象徴する場所となっている。(wikipedia)
2016年8月、JSA TOURと言う旅行会社を通じて板門店ツアーを予約した。
2018年現在も申し込みをしているそうなので、興味ある方、下記URLを参照下さい。
JSA TOUR : 「http://jsatour.com/jpn/citytour/main.asp」
1日昼食込みで85000W(8500円)ほど。だいぶお手軽だと思いますが、如何でしょうか。
ツアー自体は、朝から夕方まで1日拘束されるので、余裕を持った旅程で参加ください。
・板門店ツアー詳細(2018年スケジュールとは異なります)
朝9時にソウル市内のプレジデントホテル集合!!
バスで1時間ほど揺られると北の大地が見えてきます。笑
あみあみのゲージをくぐり、いくつもの障害物を躱して行った先に板門店の入口があります。
どうやら38度線のなかに入ったようでバスが止まって外へ出れるかと思いきや一枚の紙を渡され署名を求められた。
簡単に言うと、死亡事故とか起きても責任は負いませんので同意くださいとのことです。
署名しなければ中に入れないので記入してバスを降りる。
バスを下車すると目の前に板門店の博物館が現れる。
展示物は主に板門店が設立された経緯や、北朝鮮軍と衝突した記録等、板門店が存在する意義を丁寧に解説してくれています。
観覧後は、博物館のお土産屋で板門店限定のお土産を買うのもあり。
なかには北朝鮮グッズも取り揃えており、外がとにかく暑かったので国連軍の帽子を購入。これが長旅の友となり、ミャンマーまでずっと被り続けることとなる。
博物館を見終わるといよいよ板門店!!
ガイドの指示に従い、よくニュースで拝見する平和の家の中を通過すると、南北朝鮮軍が向かい合う38度線の国境が目の前に現れる。
人生で最も北朝鮮に近づいた一時であった。
目の前の青い家に入るのはどうやら北側の観光客と競争らしく、韓国側の方が早く板門店に着いたので、先に青い家に入れることに。
北側の観光客は、ぱっと見欧州系の観光客が多く、手を振りたかったが、当然手を振ったらこの場がさらに緊張状態になるので厳禁である。
中に入ると国連軍と北朝鮮軍が話し合う会議場が青い家のスペースのほとんどを占めているのがわかる。自分も含めて皆写真を撮るのに必死である。
部屋内にいる韓国軍はビクともしない。みなさん面白がって勝手にポーズを決めて写真を撮り、短い見学時間を満喫しておりました。
外を見ると、いつの間にか北朝鮮側に足を踏み入れているのがわかり、なんか不思議な気分であった。
国境はコンクリートの板で区切られているだけ。こんなちっぽけな境だったのが意外であったのと同時に、南北分断をただのコンクリートで成してるのがより南北問題をリアルに感じさせる。
北朝鮮側と韓国側を見比べると、韓国軍は比較的若い兵士が多かったが、北朝鮮軍は比較的年齢が高いように感じた。
兵役が韓国が2年、北朝鮮が10年である差なのか分からないが、北朝鮮軍の方が少々年齢層が上に感じたので、あくまで個人の感想だが、北朝鮮軍の方が強そうにも感じた。
板門店をあとにして、ツアーのみなさんと昼食の時間。
プルコギと安定の無料の付け合わせがついてきた。
昼食会場から見える景色は北朝鮮と韓国を結ぶ橋と国境が一望できる。
橋を渡る手前まで接近できるが、丹東の万里の長城ほど北朝鮮には近づけない。
ただの田園風景に見えるが、川の向こうは北朝鮮である。
北朝鮮が180度見渡せる展望台にも向かった。
当日は幸運にも晴天に恵まれた為、北朝鮮が誇る産業地区、開城も見渡せる。
望遠鏡を手に取り、北朝鮮の国旗がなびく方向を眺めると、思いの外北朝鮮との距離が近いことに気付く。国境沿いであるため、障害物も何もなく、北の大地を見渡せる。
最後に、板門店から平壌への出発駅を訪れた。
将来的にはここから平壌まで鉄道でいけるようになるのか不明だが、既に平壌行きの路線があるかのような立派な駅舎で、このままガイドさんが平壌まで案内してくれるのかなって思ってしまうほどだった。
英訳担当のガイドさん。日本人用のガイドさんは普通に帯同しているので、参加者は英語で聞くのか日本語で聞くのか選べます。


板門店は、朝鮮戦争停戦中の様子を、実際に肌で感じられる世界でも類を見ない場所。有事の際は相当危険で、訪問には当然リスクが伴うので、あくまで個人の責任でお願いします。
しかし、民族分断のような戦争がもたらす悲劇、未だ停戦状態の緊張感等を間近で感じられ、平和国家日本で出生した幸せを改めて認識できる場所だと考えるので、関係が良好な今行ってみることをお勧めします。
今年中には、果たして南北統一が実現するのだろうか。
数年後には、板門店が過去の負の遺産として広く認知されていることを願います。

次回は中国最西端の街、喀什(カシュガル)を紹介します。
習近平政府が推し進める「一帶一路」の重要拠点であるこの街は、経済特区でありながら、民族衝突を度々引き起こす中国の街の中でも極めてカオスな街。この街で強く生きる漢族の女性たちと中国最果ての街を紹介します。
では、また来週!!再见!!
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