”人生最大の困難に直面、雪山越えはもうしません”
今回は、私が人生で最も最大の困難に直面した イルケシュタム 峠の国境越えについて綴っていきます。
中国側からキルギスへ向かう車窓からは、天山山脈の美しい山々を鑑賞でき、中国側のイミグレからキルギスのイミグレまで2時間弱かかるが、全く退屈しない。
しかしながら、季節は冬。冬の山越えをなめていた私は、イルケシュタム峠の洗礼を浴びることとなりました。
そんなイルケシュタム峠の国境越えの方法や注意事項等を三章に渡って記していきます。
目次【本記事の内容】
√ イルケシュタム 口岸概要
・場所
中国とキルギスの国境沿い(下マップ参照)標高2830M。
イルケシュタムは、中国とキルギスタンの間にそびえ立つ崑崙山脈と西天山山脈が交差する場所に位置する峠の名称である。
詳しくは、海抜3221Mの克孜勒套と海抜3055Mの柯尓克昆蓋依套の間にある峡谷。
・歴史
古来から中央アジアと中国を結ぶ重要な交易拠点であった。
最高7000Mの山がそびえる天山山脈を超える為、比較的低いこの峡谷が自然の関所になったのであろう。
正確には税関は2つあり、キルギス側と中国側。
キルギス側は香港が中国へ回帰した約20日後の1997年7月20日にオープンし、以後そのまま使い続けている。
中国側は1997年に臨時開業し、2002年に正式オープン。
2011年に、交易の便が良い現在の場所に移設。オープン当時より標高が1000M近く低い場所に移転した。
・峠越えの方法
峠越えは、二つ方法がある。
1)カシュガルの国際バスターミナルから出ているオシュ行きの国際バスで越える。
2)カシュガルから白タクやトラックをヒッチハイクで乗り継ぎ、キルギスのどこかの街まで抜ける方法である。
(私が行った3月は冬場で国際バスが通れないほど雪山が荒れており、後者の方法しかありませんでした笑)
オシュ到着までタクシーやトラックを6回ほど乗り換えました。
(5台目は吹雪で凍結して廃車。)
√ 国境越えの総時間
中国カシュガル〜キルギスタンオシュまでの所要時間です。
私は合計13時間かかりました。
キルギス側は雪山且つ路上舗装なしの荒道が続く為、かなりの時間を要します。
<簡易スケジュール※北京時間(新疆時間は-2時間)>
8:00 喀什Pamir hostel出発(まだ真っ暗)
10:45 烏恰に到着(口岸へ行くための関門)
12:00 口岸(中国側)到着。
13:00 口岸(中国側)通過
14:30 第一税関通過。
16:00 口岸(キルギス側)通過。
21:30 意識が朦朧としながらもオシュに到着。
詳細は下記の旅行記を参照ください。
√ イルケシュタム口岸の開業時間
・中国側
《開業時間》
夏季:AM10:00-13:30,16:30-20:00
冬季:AM10:00-14:00,16:00-19:30(祝日は閉館:中国国民の休日)
電話番号:0908- 4629500
参考URL : 伊尔克什坦海关
・キルギス側
《開業時間》
・キルギスの国民の休日は基本閉まっている。(参照:キルギス国民祭)
AM9:00〜11:00 14:00〜16:00(月曜から金曜)
・参照URL:Irkeshtam Pass: Osh-Kashgar
《注意事項》
基本税関職員は両国共に働かないので、早朝からカシュガルを発つことを薦める。
加えて、中国の税関は北京時間で働いており、注意が必要。
平日中に通関できずに待ちぼうけを喰らうとトラックの中を間借りさせてもらうか野宿の外ないので、平日で且つ早朝にイルケシュタムを目指しましょう。
加えて、非常食の大切さを身にしみて感じました。カシュガルの巨大パンを持参していった所、思いの外役立ったのでお勧めする。(雪山を越えるなら持参必須)
さあ、旅行記を綴っていこうと思う。最初に言いますが二度と越えたくありません。でも越えた時の達成感はここでしか味わえない唯一無二の体験かと思います。
√ イルケシュタム国境越え記録
・2017/3/3 晴れのち吹雪⛄
早朝北京時間8時(新疆時間6時)外は真っ暗の中出発。前夜、カシュガル旅の相棒だった女性2名と夜通し話したせいか睡眠不足気味で、且つチベット族にフルボッコにされたダメージで体の節々が痛む中、13キロの荷物を背負いヒッチハイクをスタートさせた。
<中国カシュガルを出発>
・1台目:この時点で所持金は600元(10000円くらい)。
まず国際バスターミナルまでホステルの近くで車を捕まえて向かった。
しかし、北京時間9時ごろまで国際バスターミナルで待機したが、一向にバスターミナルが開かない。早朝で冷え込む中、警察官がやってきたので、いつ開くのか伺ったが、分からないとのことだった。
ちなみにこの日は金曜日で、今日中に越えないと私は標高3000Mの極寒の中で野宿を決めることになる。
テント用品もないですし、時間を金で買い、近くを運転していたウイグル族と交渉し、200元でイルケシュタム峠まで(200キロ)送ってもらう事となった。
・2台目:現時点で所持金は400元(6500円くらい)。
セダン系の車でどんどんカシュガルを離れていく。どうやら中継地点である乌恰(ウルグチャット)を目指しているとのこと。
この運転手との思い出は、2つある。
1)ガソリンスタンドにて車が爆発するから離れろと言われ、慌てて外に退避したこと。
どうやらこの辺の燃料はガソリンと何らかの液体が混じっており、給油の際携帯の電波等の刺激を与えると爆発するとのことだった。怖すぎです。
2)最初からぼったくる気満々だったこと。
乗車時200元だと約束したにもかかわらず、イルケシュタムまで200キロだと気づいた途端、暴言を吐き捨て更に200元払えと言ってきた。
私は頑なに拒んで口論になり、警察もやってきたので、和解策として運転手が言う限界のウルグチャットまで行くことで決着した。
・10:45 乌恰(ウルグチャット)到着
イルケシュタム口岸に行くまでに先ずはウルグチャットで手荷物検査を受ける。
荷物のスキャンだけでなく、特殊なスキャン機に全身をスキャンされ、厳重な検査を通過する必要があった。
長い列をなし、ウイグル族の運転手と終始無言で並び、30分ほどで全検査を終えて、再度車に戻り通過した。
ウルグチャットの市街地で適当に降ろしてもらい、ストレスから解放されたのであった。
口岸は街のはずれにあるとのことで、13キロの荷物を背負って10分ほど歩くと、中国人民解放軍が厳重な警備を敷いている検問所が見えてきた。
ここでパスポートを見せ、綺麗な発音の中国語に感動しながら銃を構えた兵隊と談笑していると、一台の大型トラックが目の前で停車した。
解放軍の粋な計らいでこの大型トラックの助手席に乗せてもらえる様交渉してもらい、口岸のメインゲートまで行くことに。
3台目:所持金400元(6500円くらい)。
中国人民解放軍に初めて好印象を持った。

・12:00 口岸(中国側)到着。
こちらは表玄関。とうとう中国最西端の税関に到着。中国シルクロード旅はここにて終了し、キルギス編へと移っていく。
表玄関にはキルギス側からやってくる旅人や中国人を目当てに白タクドライバーがたむろしていた。彼らに入り口を案内してもらい、中へと入る。
中に入ると、見慣れたDUTY FREEのショップとイミグレがあり、荷物検査場には荷物が山積みになっていた。
税関職員はこんな西の最果てに配属になって気の毒だが、国家公務員なので高給取りなのは間違いない。
いつも通り黄色のdepartureカードに必要事項を適当に記入し、先客の荷物検査が終わるのを待った。
所要時間なんと1時間。税関が閉まるのではとヒヤヒヤしながら待ち、漸く13時にイミグレで出国手続きを行えた。
・13:00 口岸(中国側)通過
パスポートに伊尔克什坦での出国スタンプが押され、だいぶ満足であったが、国境越えの山場はこれからである。
キルギス側の口岸まで車で2時間半かかるとのことで、まずは乗せてくれるクルマ探し。
税関の人を頼ったら、どうやら中国人とキルギス人夫婦の子連れが車を手配済みでそこに相乗りさせてもらえる様に交渉してくれた。
冬は基本車が捕まらず、引き返ざるを得なくなると聞いていたのでかなり運が良い。
一人140元だったので、4台目で所持金:260元(4,000円程)
さあキルギスに出発!!果たして無事キルギス側イミグレに到着できるのか。
では、また次回のPart2にて続編をお届けします!再见!!!
▼続編はこちらからご覧ください!!!
√ イルケシュタム峠の車窓風景
イルケシュタムの景色抜粋!!
まさに幻想的!!!
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