“恐怖の春節”
今回は、現在大流行中の”新型コロナウイルス”の発祥地周辺から緊急脱出した記録をシェア致します。
元々春節期間中に河南省信陽近郊の農村にて1週間程度滞在する予定でしたが、相次ぐ状況悪化により現住所がある香港への緊急脱出を敢行。
正直香港から河南省に向かう最中に、武漢肺炎が現在の様な深刻な事態になるとは想像だにしていませんでした。考えが甘かったと反省しております。
私自身への今後の教訓として、且つ封鎖網中心部からの脱出過程を皆さんへのシェア目的で綴っていきます。
目次【本記事の内容】
✓ 新型コロナウイルス 対策
河南省渡航前から既に武漢で新型肺炎関連のニュースが流れ始めており、香港の薬局には人が殺到していた。
薬局の前にはマスクを求めて大勢の香港市民が殺到し、若干混乱気味に。
そんな中私が肺炎対策で手に入れたグッズを紹介します。
1. N95&N90マスクを調達
既に報じられている通り、新型コロナウイルスは飛沫感染と接触感染が確認されており、飛沫感染対策で使い捨てマスク(不織布マスク)では防ぎきれない。
結果として業務用や医療用に使用されている高機能マスクを正しく装着することが飛沫感染を防げる可能性が高いと巷では言われている。
高機能マスクとはN95&N90マスクを指す。
結局自分では見つけ出せず、クラスメートからシェアして貰うことができた!
総じて20枚ほど。河南省滞在予定はもともと7日間。一日2枚だとしても14枚だった為、十分だと見込んでいたが、今後数ヶ月流行が続くことを考えると私も追加購入が必要。
<注意事項>
上写真はマスクの悪い付け方です。鼻が出ております。しっかり顎から鼻までマスクで覆いましましょう。
▼ N95マスク購入はこちらから
2. 消毒液
消毒液は公共物を触った直後、食事の前後等で都度使用してください。
▼ 除菌液購入はこちらから
3. ビタミン剤の購入
新型コロナウイルスに対抗するには、十分な睡眠、食事、そして免疫力も鍵となります。
免疫力強化の為にビタミン剤も購入しました。
毎日1錠ずつ服用していました。
基本は規則正しい生活と十分な食事が免疫力強化につながるので、生活習慣から見直していきましょう。
✓ 河南省への渡航
香港にいた段階で既に河南省南陽には1例感染者がいました。
ただ、河南省で会う予定の友人は全く問題ないと言っていた為、疑うことなく河南省へ向けて出発してしまいました。
・春節時の駅の様子
河南省へのルートは、「深セン駅〜広州東駅〜河南省信陽」
計20時間ほどかかりました。
深セン駅から高鉄(日本でいう新幹線)に乗り込む乗客。
1月22日夜の時点でマスク率は90%。
中国の方々が如何に予防への意識が高いか伺い知れます。
一旦広州東駅まで高鉄で到着したのち、今度は17時間以上要する火車に乗り換え。
このまま直接信陽駅へ赴く。
不運にも軟座(ベットに3人がけするタイプの座席)か硬座(エアコン無しで喫煙可能の座席)のみしか空いておらず、軟座を選択。
一部屋6人で満員状態。皆マスクをしていました。
早い段階で体を器用に折りたたみ、熟睡態勢に入りました。
中国では早い者勝ちなので、遠慮している人ほど辛い思いをします。
隣のおじさんがヤニ臭くてマスクをしていても吐きそうになりましたが、消臭剤をさりげなく周囲に撒いて就寝。
日付は変わり23日10時ごろ、周りの方々がざわつき始めている声を聞いて目が覚めました。
ニュースで“武漢封鎖”が報道されていた為です。
私以外の5人の乗客は湖南省で降りる予定だった為、「お前どこ出身か知らんけど頑張れよ」と捨て台詞を残し湖南省岳陽で下車していきました。
私の心境はただ一つ。
「俺も封鎖に巻き込まれるんじゃ。。。」
・封鎖直後の武漢
23日4時半ごろ、既に封鎖が完了した湖北省武漢に到着しました。
長江を横断し、市内へと列車は突き進んでいきます。
心配はただ一つ。
漢口で列車が止まって隔離されるのでは??
車はちらほら見えるが、人一人姿が見えない。
大通りでも車は2〜3台ほどでした。
早朝10時の時点で武漢発の列車は運休していた為か、止まったままの高鉄がちらほら見えました。
まるでゴーストシティ。
4年前に訪れた武漢とは雰囲気が違いました。
漢口駅に到着。
止まらずに通過していきました。
そもそも停車予定だったのかも定かではないですが、武漢は通過していくのみでした。
封鎖都市になった武漢は人一人見かけない大都市に成り果てていました。
夜8時半ごろ漸く河南省信陽に到着。
出迎えてくれた河南省人は意外とマスク着用者は少数でした。
未だ感染者が数えられる程度だった為、感染防止への意識は低い様に感じました。
翌朝24日10時ごろに信陽を出発して、滞在予定の近郊の村へと向かいました。
1時間ほど運転して高速を降りたあたりで、10人以上のマスクの集団に囲まれました。
周囲を完全に包囲され、スマホで私の顔や車のナンバー等を撮られ、通行を許可してもらえました。
どうやら湖北省から来た車両を取り締まっていたようで、素直に「昨日湖北省を通って来ました」と言えば捕まって隔離施設に連れて行かれたことでしょう。
初めての鎮に来ました。
市、県に次ぐ単位の鎮。
今回宿泊予定の場所は、鎮でもなく、村である笑
春節前日の大晦日だった為、各食事前には爆竹を鳴らしており、空気汚染が深刻でした。
友人の農村に到着。
ここで1週間ほど食って、寝て、飲んでを繰り返す賑やかな春節を過ごす予定でした。
おそらく私が過去中国国内を旅行した中でもトップクラスの農村でした笑
これぞ農村。
ザ・農村過ぎたせいか、友人もかなり気を使ってくれました。
正直食事や環境面も含めてかなり厳しいものがありました。
✓ 河南省農村での出来事
友人の実家に到着してすぐに親戚同士での飲み会がスタート!
黃酒や白酒を友人の親戚の方々と挨拶をしながら飲んでいきます。
いわゆる中国語で敬酒(ジンジオ)と呼ばれる飲み会には欠かせない文化です。
グラスを開けたら、2秒後に既に満タンになっています笑
白酒と言えば貴州省の茅台。
3年ぶりに飲みましたが、相変わらず強烈な匂いと味で2回グラスを空けた後、名前も分からないおっさんに注がないよう懇願していました笑。
春節自体は期待通り楽しむことができ、中国農村特有の農家菜は私には不向きであるとはっきり理解しました。
この農村で感じたことは下記ツイートに記載しております。
https://twitter.com/Lingmu57733477/status/1221685537687425024
・情報の錯綜
団欒の最中、テレビでは一日中武漢肺炎のニュースが報道されていました。
特に10日後の完成を目指した武漢肺炎患者隔離病院の建設開始を大々的に報道していた。
一部10日後に完成は無理だろと嘲笑していたが、ショベルカーの量をみて、政府の本気を感じ、本当にやり遂げるのでは?と意見は二極化していた。
現状の進行具合が見たい方は下ツイートをご覧ください。
Huoshenshan Hospital, an emergency specialty field hospital, is being constructed in Wuhan, China. The facility is expected to be completed in 4 days. #pneumonia #coronavirus https://t.co/XglD0mIONG
— China Xinhua News (@XHNews) January 30, 2020
24日大晦日の夜には”春晚”という日本で例えると、紅白歌合戦のような高視聴率番組がスタート。
冒頭部分で武漢肺炎に対して一致団結して立ち向かい、武漢を応援しようという呼びかけが番組の一つのプログラムとして行われていました。
これだけではなく、番組中司会者が武漢を応援しようという呼びかけを何度も行っており、視聴率90%の春節番組が中国人の肺炎に対する意識向上に一役かったのでは?とも考えられる。
25日0時旧暦の年越しを迎えました!
年越しで友人とメッサージを送りあっている最中に、ウイチャットのモーメンツで湖北省全封鎖という謎情報を拾う。
湖北省全封鎖?
信陽も封鎖された?
周辺の全観光地も封鎖済み?
年を超えた直後に押し寄せた大量の不確定情報のせいで全く寝れず、25日の朝を迎えた。
・緊急脱出案立案
翌朝、友人宅で作戦会議。
グーグルマップを眺め、先ずは最寄りの空港である南陽から広州or 深セン or 香港への直行便があるかを調べた。
予約画面まで進んだが、急にチケットが売り切れたり、価格が8万円まで跳ね上がる等、チケットを予約するタイミングを逸してしまった。
結局、私は8万も払う余力はなかったので、帰る方法がないのでは?と絶望。
ぼーっと地図を眺めていたところ、長年の中国旅行の経験から、大都市ほど安い価格で都市間を飛べることを思い出し、早速河南省の省都:鄭州から上記3都市への直行便を検索。
私の読み通り、翌日午後3時10,000円で深センまで飛べる便を見つけ、逆算して南陽〜鄭州〜空港のルートを策定。
策定したルートがこちら。
早朝9時20分の南陽東駅発の電車に乗り込めば、鄭州~深セン便に間に合うことを確認し、友人に頼んで早朝農村から南陽市まで運転してもらうことになった。
<脱出ルート>
1. 信陽近郊の村〜南陽東駅
2. 南陽東駅〜鄭州東駅
3. 鄭州東駅〜新鄭国際空港
4. 新鄭国際空港〜深圳宝安空港
5. 深圳宝安空港〜深圳湾口岸経由香港
とりあえずルートが決定し、各交通機関のチケットを予約したので、早朝の出発を遊びながら待つことにした。
・周辺観光地全封鎖
周辺の観光地には黑明寺と桐柏山があり、黑明寺は無名の地元民しか行かないお寺。
桐柏山は、比較的有名な観光地で、冬には綺麗な雪化粧を鑑賞できる。
桐柏山は封鎖されたとの情報が入り、先ずは黑明寺へ赴いた。
無名な観光地なだけあり、観光客は私と友人の2名だけ。
お茶の産地として有名で、香りが芳醇なお茶を好きなだけ摘むことができる。
1キロ100元で売れるらしく、地元の農家は寺まで摘みに来るらしい。
1日あたり400元稼げるため、良い収入源となっている。中にはタオバオで販売する強者も笑
次訪れたのは人気の観光地である桐柏山。
残念ながら入り口には立ち入り禁止の看板が。
観光客に登らせないように監視員も配置されており、こちらは断念しました。
基本有名な観光地は全て閉まっており、同日北京の故宮等も閉館していたと伺ったので、中国の大都市では同様の対策を行っていたと考えられる。
・ホテルでの出来事
詳細は下記ツイート通りですが、湖北省から来たことは一番のNGワードでした。
危うく、警察に捕まるところでした。
中国政府が各地の宿泊施設に、”湖北省から来た観光客がいたら警察を呼べ“と命令を出していたそうです。
https://twitter.com/Lingmu57733477/status/1220720844596445185
✓ 緊急脱出
村の封鎖は時間の問題と判断した私は上記の通り緊急脱出案を策定。
早朝7時半から12時間かけて香港へ緊急脱出した様子を時系列に沿って紹介していきます。
<スタート地点>
河南省南陽市平氏鎮の周辺にある地図に乗らない村からスタートです。
<脱出ルート再確認>
1. 信陽近郊の村〜南陽東駅
2. 南陽東駅〜鄭州東駅
3. 鄭州東駅〜新鄭国際空港
4. 新鄭国際空港〜深圳宝安空港
5. 深圳宝安空港〜深圳湾口岸経由香港
1. 信陽近郊の村〜南陽東駅
7時半頃に農村を出発。
南陽方面の高速に乗る前に、全身完全防備した警察が待ち構えていたが、特に調べられることなく無事に通過。
https://twitter.com/Lingmu57733477/status/1221220314291437568
2. 南陽東駅〜鄭州東駅
約1時間かけて南陽に到着。
高速を降りた後に、2回目の検閲。
こちらも特に調べられることなく無事に通過しました。
https://twitter.com/Lingmu57733477/status/1221230365806751744
南陽東駅に到着後、農村から運転してくれた友人に別れを告げ、駅構内へと向かう。
駅入り口にて初の体温検査を受診。
問題なくパスして、荷物検査を受けました。
そこから暫くして時間通りにゲートがオープンし、乗車。
皆河南省からの脱出が目的なのか、荷物多めである。
策定した脱出ルートの時間通り:9時20分に鄭州東へ高鉄で向かう。
電車の中はマスク率100%でした。
約1時間ちょっとで鄭州の町並みが見えて来ました。
3. 鄭州東駅〜新鄭国際空港
脱出計画の中で最も厳しかった体温検査を受診。
鄭州東駅出口にて、サーモセンサーと体温計で測定されました。
https://twitter.com/Lingmu57733477/status/1221267012149579778
一先ず封鎖の恐怖からは遠のいた為、精神的にだいぶ楽になりました。
鄭州東駅から空港まで高鉄が走っており、約15分程度で行くことができる。
4. 新鄭国際空港〜深圳宝安空港
無事に新鄭国際空港に到着。
15時の便まで余裕があった為、空腹を満たしつつ、深センからの帰りのルートを検索。
そんな中、滞在していた村の友人から村の主要道路が封鎖されたとの連絡が来た。
間一髪…出発が遅かった場合、当日河南省の農村に閉じ込められるところでした。(結局、農村出身者は登録をすれば村への出入りは可能になったので、封鎖になったとしても脱出は可能でした。)
https://twitter.com/Lingmu57733477/status/1221305345613557761
土や岩等で封鎖され、恐らく感染拡大が終了するまでは封鎖が続く見通しです。
どうやら河南省では同様の感染防止策が各地でとられているらしい。
15時頃ようやく河南省を脱出し、予定通り深センへと飛ぶことに。
CAさんもマスクをしており、機内も厳戒態勢でした。
防護服に身を包んだ検査員が機内の中に入って来ることはありませんでした。
5. 深圳宝安空港〜深圳湾口岸経由香港
河南省の農村から10時間以上かけて漸く深センに到着。
深セン湾イミグレ経由の香港太子行きチケットを購入し、ひとまず深圳灣口岸へ赴きます。
https://twitter.com/Lingmu57733477/status/1221393999610568704
激しい競争の中、「健康申明卡」を手に入れて記入後、徒歩でイミグレを通過して香港側へ!!
漸く12時間かけて香港の地を踏むことができました。
香港の太子方面へのバスに乗り、帰宅の途につきます。
太子に到着。
ついに脱出をやり遂げました。
行く先々でトラブルに巻き込まれる様になり、最近は親しい友人にも”私の所に来ないでほしい”と言われる有様。
そろそろお祓いに行こうかと思います。
みなさま大変ご迷惑をおかけ致しました。
✓ 大脱出まとめ
今回は、中国渡航時に私が実際に行ったコロナウイルス対策と、慌ただしい中国国内の様子を紹介しました。
中国本土や私が滞在する香港は、皆感染防止への意識が高く、ほぼ99%の人が外出中はマスクをつけています。
日本は中国ほどではないが、日本の報道で武漢から来た観光客を乗せたバスの運転手が感染した等、続々と感染のニュースが流れていると思います。
結局は手洗いうがいが最高の予防策ですので、自分の身は自分で守れる様に徹底した自己管理をここ数ヶ月間継続することを私は強く推奨します。
1. 通過した検閲&体温検査総計
総時間:12時間
検閲回数:7回
体温検査:4回
今後は自分の家に14日間は引きこもる予定です。
https://twitter.com/Lingmu57733477/status/1221457949081493504
2. 信陽近郊の村の近況
私が滞在していた農村の近況。
・外部の人間は村に入れない。
・メインの入り口は全封鎖。
・村人は門番のいる登記所で登録すれば自由に出入り可能。
・政府から徹底してマスクと手洗い、栄養摂取を推奨されている模様。
現在監視員が道を取り締まっており、外部の車両がどこから来たのかをチェックしている。
農村の住人であっても体温チェック、熱の有無、野生動物の持ち込み等をチェックされる。
・関連リンク
Live from Wuhan: millions tune in to watch China build coronavirus hospitals (SCMP, 2020)