“客家の里”
今回は300年以上前から、客家人が独自の文化を育んできた島:”鹽田仔“(鹽田梓)を紹介する。
現在は村人が居らず、私好みの文化的背景のある無人島で、現在もカトリック教会や廃屋、塩田等を見学できる。
そこで、今回は無人島にしては珍しい、文化的背景もありつつ大自然も味わえる贅沢な無人島:鹽田仔を紹介していきます。
目次【本記事の内容】
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下記私の各SNSでも、鹽田仔を紹介しているので是非ご覧ください!
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✓ “鹽田仔”概要
1.“鹽田仔” の場所
場所は香港北東の西貢に位置し、ゴルフ場で知られる滘西洲の北にある。
また、別記事にて紹介した橋咀島の丁度北東に位置する。
鹽田仔にはマングローブが自生しており、多種多様な生態系を育んでいる。
2.“鹽田仔” の歴史
鹽田仔(鹽田梓)は、約300年前、客家人の陳氏夫婦が中国深セン(龍華區觀瀾)より移り住んだ頃から歴史が始まる。
居民は、塩田や漁業を生業とし、最盛期には人口が200人に達していたとのこと。

鹽田仔(鹽田梓)の由来についてだが、鹽田仔の村人は代々塩田で生計を立ててきており、「梓」の字は“故郷”の意味である。即ち、“故郷を忘れず大切に想う”意味が込められている。
加えて、広東人が客家語の「梓」を「仔」と聞き間違え、現在鹽田仔と呼称するに至ったとされる。
非常に興味深いのが、他の客家の村とは異なり、鹽田仔の村人はカトリック教徒であり、尚且つ墓の隣で線香を炊きながら、祈りを捧げている事である。
カトリックの歴史も古く,鹽田仔は香港のカトリック発祥の地の一つと言われている。1864年に初めてカトリックの宣教師が鹽田仔を訪れ、1875年には村人全員が洗礼を受けたとのこと。
文化的視点から鑑みると、西洋と中華が合わさった独自の文化が何百年もの間、狭い村コミュニティの中で形成され継承されていたのは非常に興味深い。
たがしかし、時代の変化には逆らえず、1960年以降都市の発展が進むにつれ、大規模な都市部への移住が始まり、1998年最後の村人が島を去り、無人島と成りました。
現在は、鹽田仔の文化財保護が行われ、カトリック教会等の文化財の保存、加えて塩田での塩の生産(お土産用途等小規模ではあるが)も行われている。
出典:
✓ “鹽田仔”への行き方
鹽田仔へは週末に西貢から1日何便も船が出ており、肥婆船務(意味は太ったおばあさん)と言う業者に頼れば、西貢碼頭—鹽田仔を往復$50HKDで乗せて行ってくれる。
当日は天気が快晴で、海風が心地よかったです。
鹽田仔に向かう航路の途中、様々な無人島を通り過ぎていくが、興味深い場所を発見した。
こちらの無人島にはカヤックに乗って、橋咀島の連島沙洲のような場所に上陸できるようだ!
これは後日実行するしかない…(笑)
西貢碼頭の周辺海域では、週末になると多数の船が行き来する忙しない海域になる。
西貢碼頭から15分ほどで鹽田仔碼頭に到着!!!
どっから来たのか分からない老夫婦が、まさかの泳いで上陸していたのを横目に私たち若者は船で上陸。
流石は長寿で有名な香港。
私も長生きできるように、島まで泳いで渡らねば…(違う)
では、鹽田仔の観光模様を紹介していきます!!!
✓ “鹽田仔” 観光の様子
鹽田仔へは1日複数便が出ていることから、当日は多くの観光客で賑わっておりました。
周辺の海は美しく、流石西貢の海!
ただ、今回も若干2名遅刻者がいた為、暑い中彼らを待つことに。
西貢の美しい海で足元を冷やしながら20分ほど待機。
1. “鹽田仔”のお土産コーナー
こちらがお土産売り場兼島の歴史博物館。
300年もの長きに渡り人が居住してきた歴史を年代ごとに写真で説明している。
お土産コーナーでは、鹽田仔の主力商品である塩を購入可能。
私も50HKDで購入して実際にゆで卵と食してみたが、濃厚で少量でも十分なほど味が濃くかなり塩分が濃縮されている。
鹽田仔にお越しの際は是非お一つご購入ください!
遅刻してきた2名が島に来たので、観光スタート!!!
2. 廃屋
島の観光ルートを順々に進んでいくと、最初に見えてくるのが廃屋エリア。
90年代末頃まで実際に人が住んでいたとのことだが、生活感もなく既に面影もない。
ただ、村人がカトリック教徒だった事が分かる建物を発見。
ステンドグラスに島のお祭り?が描かれている。
西洋と中華文化の融合の一例といえるでしょう。
加えて、各廃屋を見ると、鹽田仔の最盛期はさぞ美しい街並みだったのではと想像が膨らむ。
現在は観光客向けに開放されており、自由に屋内を見学可能。
前述した通り、もはや人が毎日生活を営んでいた痕跡は無くなり、物置と化している。
3. 鹽田梓文物陳列室
教会の近くには、客家文化の紹介コーナーが設けられている文物陳列室があります。
昔村の小学校だった澄波学校の一部を使用しており、新界で偶に見かける客家人の帽子や、日用品や島の歴史紹介等の展示を閲覧できる。
4. 聖若瑟堂
1890年に建てられた聖若瑟堂。
前述した通り、20世紀末ごろには村人全員がカトリック教徒となり、村の文化的象徴並びに宣教師との良好な関係の証として大切にされてきた事でしょう。
ユネスコの遺産建造物に指定されているだけあり、教会内は現在も綺麗に保存されている。
5. マングローブ
塩田周辺にはマングローブが自生しています。
個人的にマングローブは、数年前ブルネイのジャングルで迷子になった事を想起させる…
島の海岸線沿いに多く自生しているので、是非ご覧ください。
基本マングローブは、海水と淡水が混ざり合う汽水域に生息する生き物で、塩田周辺は塩分濃度にばらつきはあるものの、マングローブが自生できる環境が整っている。
赤茶色の水中には、多くの甲殻類が生息しており、特に赤色の大きめの鋏を持った蟹が多く生息していた。
上記写真は、色からも分かるがかなり塩分濃度が濃い。
赤茶の水を舐めてみたが、しょっぱすぎました(笑)
対して、塩分濃度が低いエリアでは、小魚が元気よく泳ぎ回っており、多種多様な生態系を育むマングローブ林の観察は、私を飽きさせませんでした。
6. 塩田
鹽田仔のシンボルともいえる塩田!
小規模ではあるが、現在も塩の生産が行われている。
赤茶色に染まる塩田畑。
塩田畑にも多くの蟹が生息しており、塩分がかなり濃縮された塩田でも生物が生きておりました。
こちらはこの塩田で生産された取れたてのお塩!
舐めてみたが、しょっぱ過ぎて悶絶(笑)
塩田における塩の生産過程を間近で見る事ができ、非常に楽しく拝見する事ができました。
ただ、塩田に入る為には、入場料20HKD必要な為、事前に現金のご準備を!
7. 玉帶橋
玉帶橋は、人気のゴルフ場がある滘西洲と鹽田仔を繋ぐ橋で、橋からはマングローブ林を眺められる。
美しい橋と美しい海がある玉帶橋は、鹽田仔屈指の写真撮影スポット。
橋の両端に柵がない為、見晴らしが良く、風も心地よい。
橋の内側は避風塘になっており、何隻か船が停泊していました。
8. ハイキングトレイル
島全体に張り巡らされているハイキングトレイルも鹽田仔の魅力の一つ。
前述したマングローブの林を歩いたり、多種多様な動植物と触れ合える。
何か発見するたびに立ち止まっていた為、ハイキングが全然進まず…(笑)
島の高台からは、鹽田仔を一望でき、島観光の締めくくりにふさわしい。
9. 客家傳統茶粿
絶品のあんこ味とごま味の客家茶粿、そして豆腐花!
鹽田仔から西貢碼頭に帰る船を待つ際に、是非廃墟近くのお茶屋さんに立ち寄って味わってみてください。
約3時間ほど滞在し満足した私たちは西貢碼頭へ帰還!
上記で説明した通り、鹽田仔には長き歴史があり、多種多様な生態系を育むマングローブがあり、美味しい茶粿も味わえる。
唯一無二の無人島であり、香港離島マニアにとって外せない島の一つでしょう!
是非週末は、客家の里:鹽田仔へ!
今回はここまで!
次回以降も、香港の離島の魅力を発信していきます。(フォロー頂けると嬉しいです。)
では、また次回!!再見!!!
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